フルリフォームとは?気になる工事内容や費用について

打ち合わせ

フルリフォームのメリットは既にある家を利用できることです。これまで不便に感じていた間取りや設備を使いやすいように変更でき、家の床面積が減ってしまうといったこともありません。また住み慣れた場所を離れることなく新しい家に住むことができます。

最近では子どもの独立や両親との同居をきっかけに、フルリフォームをして将来安心して暮らせる家にする方が増えています。今回はフルリフォームについてご紹介いたします。

 

■フルリフォームとは

 

・フルリフォームの定義

フルリフォームは建物の骨組みである基礎、柱、梁などを残した状態で、家を新たに作り直す工事をいいます。

一方、床や壁のみを替えるリフォームは表層リフォーム、浴槽やトイレなどの設備を新しくすることを部分リフォームといいます。表層リフォームや部分リフォームを行なうことで暮らしやすさは向上しますが、間取りの変更といった大規模な工事ができるのはフルリフォームのみといえます。

 

・こんなときはフルリフォーム

「そろそろリフォームを考えているけど、どんなリフォームが良いのか分からない」、「家を長持ちさせるためにもリフォームがしたい」とお考えの方に、フルリフォームでできることをご紹介いたします。

1耐震補強

壁に耐震性を持たせる工事や、基礎を補強します

2断熱材の設置

建物全体の断熱性を向上させる工事が可能です

3間取りの変更

玄関や水回り、間仕切り、窓、階段といった設備の場所を変更することが可能です

4屋根、外壁の交換

屋根や外壁の材質を新たにし、家に耐久性を持たせることができます

 

・リノベーション

家の機能や価値、住み心地を良くするために行なう改修工事をリノベーションといいます。例えば家の中に手すりをつけて安全性を高める、部屋の間仕切りや段差を取り払ってバリアフリー化するなど、住む人にとって快適性をもたらすような工事がそれにあたります。

フルリフォームのときにリノベーションも行えるので、一度で全ての作業が効率よく済むところもフルリフォームの良いところといえます。

 

■フルリフォームの費用

設計図

・一般的なフルリフォームの費用相場

フルリフォームの費用は建物(一戸建てまたはマンション)、建物の大きさなどの条件により違いがあるため、見積を取ってみなければはっきりした費用はわかりません。ここでは一般的な一戸建てを例にあげた場合の費用をご紹介いたします。

例:一戸建て(30坪)のフルリフォーム費用

解体費用…50~100万円

補強費用…20~320万円

設備費用…330~800万円

設備設置費用…150~400万円

諸費用…75~200万円

合計…625~1820万円

 

・フルリフォームの費用内訳

おおよその費用がわかったところで、フルリフォームを進めるにあたり必要な費用の内訳をご紹介いたします。

1解体費用

壁、床、屋根などを解体する費用と廃棄処分に必要な費用です。フルリフォームの解体は細かい部分を手作業で進めるため、解体にかかる人件費や工期が予定よりも延びる可能性があります。

2補強費用

建物を構造する部分の木や鉄筋、コンクリートに腐食、虫による被害などが見られた場合、フルリフォームの作業に入る前に全てきれいに補修、補強しなければなりません。建物の強度診断を行なう場合はその費用も必要になります。

3設備費用

家を新しくするにあたり水回りや家具などの設備を買い替えるための費用です。

4設備設置費用

新しい設備を取り付けるための設置費用や、配管、配線といった工事も必要になります。

5諸費用

工事車両を駐車しておくための駐車場代や資材の運搬に必要な費用、一時的に居住する物件の家賃などです。

6税金

フルリフォームの工事請負契約に必要な印紙代や固定資産税などです。新たに家を購入してフルリフォームをする場合は、不動産取得税なども必要になります。

 

・築年数ごとのリフォーム費用相場

フルリフォームの全体像が見えたところで、「我が家はフルリフォームが本当に必要なのかどうか、予算との兼ね合いはどうなのか」などを改めて考えるためのポイントとして、リフォームを築年数や箇所ごとで考えた場合の費用相場をご紹介します。

1)築年数 5年の建物のリフォーム費用:約7~10万

築年数5年以下の築浅物件をリフォームする場合、「少し汚れが目立ってきた」という理由で見える部分を綺麗にする、内装工事(クロスの貼替えや畳の表替えなど)がメインになります。

面積にもよりますが、壁紙貼替で約5万円~/一面、表替えで約0.5万円/一畳となります。

2)築年数10年:約10~150万

築年数が10年経過すると、修繕ポイントがいくつか出てきます。マンションの場合は一部の内装や水廻り水栓の交換程度で済むことも多いですが、一戸建ての場合、屋根や外壁に痛みが出てくる時期です。

修繕の方法にもよりますが、外壁塗装・屋根補修まで行うと総額150万円~が必要になります。

3)築年数15年:約50~300万

築年数が15年経過すると、水廻り設備の経年劣化が進み、取り替えが必要になる場合があります。特に給湯器や洗面化粧台などと合わせてユニットバスを交換するなど、複合工事になる事も多いです。

現状設備の寸法や選択するグレードにもよりますが、単品工事で約50~150万円程度、複合工事ではおよそ100万~300万円ほどの費用が必要になります。

4)築年数20年:約150~400万

築年数が20年経った物件では、大規模なリフォーム工事が必要な場合が多くなります。キッチンやトイレなど設備機器の取り替えと、壁紙やフローリングの修繕や張替えがメインです。

設備のグレードや内装工事の面積にもよりますが、マンションリフォームの総額は約150万~300万円、外壁や屋根の補修が必要な一戸建てでは約250~400万円ほどかかります。

5)築年数25年:約250~500万

築年数25年以上経った物件では、暮らし方が変化することに伴って、設備や内装・外装工事に加えて部屋の間取りを変更するケースが出てきます。

間取り変更まで含めるとマンションでは約250~400万円、一戸建てでは約350~500万円ほどのリフォーム費用が必要です。

 

・リフォーム箇所ごとの費用相場

続いて、リフォーム箇所ごとの費用相場についてです。よくある水廻りリフォームの他にも、内外装、間取変更など大掛かりなリフォームについても、リフォーム費用の目安や費用が変動するポイントをお伝えします。

1)水廻りのリフォーム費用

トイレ・・・約15~50万円(和式トイレを洋式に変更=70万円前後)

洗面脱衣所・・・約20~70万円

キッチン・・・約50~250万円

ユニットバス・・・約60~200万円(在来浴室からユニットバス=70~200万円)

洗面化粧台やトイレなどは一日工事で終わる場合も多く、施工費も他の設備と比べると比較的安価になります。トイレについては、よくある一般的なタンクと便器が分かれているタイプでは約10万円~、タンクレスや収納キャビネット一体型の場合はさらに費用が必要になります。

キッチン・ユニットバスについては寸法や商品グレードによって、価格が大きく変動します。特にキッチンについては同じグレードの商品の中でも、レンジフードやガスコンロ・食洗機など機器の性能が高いものを選ぶと費用が増加するため、予算や優先順位に応じてオプションを選択していくのがオススメです。

2)内装材(壁紙・床材)の張替え費用

壁紙貼替え・・・約800~1,500円/㎡

床材(フローリング)張替え・・・約7,000~15,000円/㎡

内装材については、使用する素材によって費用が変動します。クロスについて、調湿や防水などの機能性がついているものになると一般的な壁紙に比べて倍ほど相場が上がることもあります。床のフローリングについても、合板の基盤に表面のみ木材を使用しているものと全てが無垢材で作られたものでは大きく価格が変わります。

3)リビング・部屋・玄関・廊下のリフォーム費用

リビング・・・約20~200万円

部屋(洋室・和室)・・・約20~50万円

和室から洋室に変更・・・約30~100万円

廊下・・・約10~50万円

玄関・・・約10~60万円

リビング・部屋・廊下・玄関などの雰囲気を一新する場合、施工範囲や内装材のグレード、収納の有無などにより金額が大きく変わることがあります。例えば玄関の工事では「玄関収納を追加するのみ」「玄関ドアを交換するのみ」といった内容であれば30万円以内で実施できるでしょう。

4)間取り変更の費用

間取り変更・・・約30~400万円(総額)

間仕切り壁の設置・・・約8~20万円/箇所

間仕切り壁の撤去・・・約7~15万円/箇所

間取り変更は大きく2つのパターンに分かれ、単に壁を設置して部屋を増やす・壁を撤去して部屋を広くするだけなのか、キッチンやお風呂・階段などの位置を動かすのかで大きく価格が変わります。設備等の移設をする場合、それに伴って電気・配管工事の必要が出てくるため400万円前後の費用が必要です。

戸建て住宅の間取り変更では、壁を撤去する際などにもし補強が必要と判断された場合、見えない部分ではありますが材料・施工の費用が追加となります。

5)屋根・外壁のリフォーム費用

外壁・・・塗装:約60~200万円

屋根・・・塗装:約40~100万円、重ね葺き:約60~250万円、葺き替え:約70~300万円

外壁・屋根のリフォームは補修・張替えに使う材料の種類によって価格が変動します。一般的に、耐久性・耐熱性・遮音性など性能が高い素材ほど高額になりますが、その代わりメンテナンス頻度が下がるのでコストパフォーマンスが高いとも言えます。

また、前回施工からの経過年数によって施工方法や材料が変わる事があり、屋根の場合、耐久年数を大きく超えてしまうと屋根材に塗料が乗らなくなるため葺き替えが必要になるなど、経過年数が多いほど工事も大がかりになりがちです。

 

■フルリフォームの費用をさらに抑えるためのコツ

フルリフォームではリフォーム項目が多いことに加えて仮住まいや引越しなどリフォーム以外にも費用がかかるため、費用総額が見えにくく予算オーバーしやすくなります。ここでは、ポイントをおさえて費用を抑えて賢くリフォームするコツをお伝えします。

・リフォーム計画の見える化

業者選定や見積について考える前に、まず最初に行うのはリフォーム計画を立てる事です。大切なのは、事前に家族とよく相談をして「今回のリフォームの目的、改修・修繕が必要な箇所、希望内容の優先順位」などを明らかにしておくことです。

リフォームでは幅広く様々な希望を叶えられる反面、上を見れば見るほど良い商品・できることが存在し、どこまででも費用が上がってしまう可能性があります。また、いざ業者に見積依頼をして打合せをしてみると、色々な案や選択肢を提案されて迷ってしまいがちです。

予め目的や優先順位がハッキリしていると、それに応じた商品選びやグレード選定ができるので、予算を抑えながらも納得感のあるリフォームが可能になります。

・業者選びについて

リフォームやリノベーションを手掛ける会社には、知名度の高い「大手ハウスメーカー」、地域密着型の「工務店」、リフォームに特化した「リフォーム専門業者」とさまざまな種類があります。

複数社に見積を取って依頼会社を決定することが一般的ですが、最初に提示された見積金額から安易に会社を決めてしまわないよう注意が必要です。会社によってはオーダーしていた内容からさらにプラスαの提案をしてくれていたり、逆に最低限の工事内容しか入っておらず後々の打合せで内容追加となる場合もあるからです。

まずはなぜその内容・金額になっているのか担当者から詳しく説明を受けた上で、納得できるプラン内容になるまで遠慮なく希望を伝えることが重要です。親身になってくれる担当であれば、そこからコストダウンのアドバイスや代替案などの提案も期待できます。

・リフォームローンの活用

リフォーム工事の支払いにリフォームローンを利用する方も多いですが、意外と知られていないのが、マイホーム購入のために利用されることの多い「住宅ローン」がリフォームやリノベーションにも活用できるということ。リフォームローンよりも借入金額が大きく借入期間も長いため、フルリフォームなど大きな資金が必要になる場合にはオススメです。

ローン会社によって金利や団体信用生命保険の有無などの設定が変わってきますので、ご自身の借入金額・期間などを考慮して自分に合った借入先を選択する必要があります。リフォーム会社と提携しているローン会社であれば他よりも低い金利で借りられることもあるため、打合せの段階から確認しておきましょう。

・リフォーム補助金制度や減税制度の活用

リフォーム費用を賢く抑えるために、補助金制度や減税制度を利用することも有効です。活用できる補助金制度の内容については、

・バリアフリー/介護

・省エネ/エコ/断熱(窓リフォーム、断熱リフォーム等)

・耐震診断/耐震改修

といったものにまとめることができます。ただし、制度によっては申請の期限や予算の上限が決められており、かつ着工前の申請が必要なため、工事スケジュールを調整する必要があります。必ず事前に必要な手続きや期限を確認しておきましょう。

減税制度は、リフォームローン利用の有無と工事内容次第で所得税・固定資産税などの控除を受けられる制度です。所得税の減税については、リフォームローン利用の有無と償還期間によって「住宅ローン減税」「ローン型減税」「投資型減税」の3つにまとめられ、それぞれに最大控除額が決められています。工事内容では、

・耐震リフォーム

・バリアフリーリフォーム

・省エネリフォーム

・三世代同居対応リフォーム

・長期優良住宅化リフォーム

以上のどれに当てはまるかによって上記3パターンのどの制度が利用できるかが異なります。減税制度についても一定期間内に必要な手続きを行う必要がありますので、自身の予定しているリフォーム内容と照らし合わせてどの制度が当てはまるのか、事前に確認してスケジュールを調整しましょう。

 

■フルリフォームで人気が高いのは間取り変更

フルリフォームでは住宅の基礎以外を全て取り除くため、自由に間取り変更ができるというのが非常に大きなメリットです。しかし、間取り変更をする際には注意点もあります。

ここではフルリフォームで間取り変更をする場合の変更例や注意点をご紹介いたします。

 

・人気の間取り変更例

人気の間取り変更では、リビングとダイニングを遮る壁を撤去して広々としたリビングダイニングにするものが挙げられます。他にも部屋を広くする方法として、使わない部屋や和室を他の部屋とくっつけてしまうなどがあります。

また、反対に幼い兄弟がいる子供部屋に仕切りを作って部屋を分ける方法もあります。

他には、部屋の数や位置は変更しないものの、階段を緩やかにする、廊下の幅を広げるなどもフルリフォームで人気の間取り変更です。

 

・注意点

<DIYでは絶対にやらないこと>

壁を抜くだけで部屋ができるなら自分でやってしまおうと考えていませんか?住宅によっては壁があることで耐震性を強化していることがあります。住宅の知識がない素人が勝手に間取り変更をすると、住宅の耐久性や耐火性に影響を与えてしまいかねません。

必ず間取り変更は業者に依頼するようにしましょう。

 

<構造によっては無理なことがある>

間取り変更はどんな住宅でもできるわけではありません。先ほどご紹介したように、中には移動や撤去ができない壁や柱が存在します。

戸建て住宅の場合、「2×4工法」や「プレハブ工法」で建てられた住宅は耐力壁で建物を支えているため、間取り変更に制限がかかりやすくなっています。

 

<マンションは特に注意が必要>

マンションの場合は構造による制限もありますが、管理規約による制限があるケースもあります。まずは管理規約と管理組合に間取り変更の条件などを確認してみましょう。

構造はラーメン構造であれば間取り変更ができますが、壁式構造は耐力壁があるため間取り変更に制限があります。

 

<水回りの間取り変更は高額になりやすい>

間取り変更をする際は水回りについて気を付けましょう。水回りは配管や電気が通っている場所なので、移動させると追加で工事が必要になります。

しかし、フルリフォーム時であれば基礎部分に手を付けやすいため、どうしても水回りを移動させたい場合はフルリフォームとタイミングを合わせて行う方が良いでしょう。

 

■フルリフォームを成功させるには

フルリフォームを成功させるには4つのポイントがあります。

 

・助成金制度の活用

リフォームには助成金制度や減税制度が設けられており、条件によっては活用することができます。ただしリフォームを行う事前に申請が必要なものが多いため、まずは利用できそうな助成金の条件を確認することに加え、工事を依頼するリフォーム業者にも伝えておくようにしましょう。助成金に強い業者であれば、教えてもらうこともできます。

 

・事前に調査を行う

実際に工事が始まると基礎部分が傷んでいて追加工事が必要になることもあります。そのため、事前に調査を行って工事箇所以外に問題がないかを確認しておくようにしましょう。追加工事は費用だけでなく、工期にも影響します。

 

・別途工事の必要性

もし別途工事が必要になった場合は、必ず見積もりを出してもらいましょう。法律上、口約束だけでも成立してしまうため、書類がなくても工事は通ってしまいます。本当に必要な工事か見極めるためにも、疑問を確認すること、見積書を出してもらうことを忘れないようにしましょう。

 

・工期を考える

フルリフォームはリフォームの中でも非常に大規模なので時間も費用もかかります。最低でも2か月以上はかかると考えておきましょう。工事内容や住宅の規模によっては半年近くかかることもあります。

仮住まい探しを含めて、工事の前は余裕があるスケジューリングを心がけましょう。

 

■建て替えじゃダメなの?

住宅模型

・一戸建てと建築基準法

「新築同様に作り変えるなら、全て壊した方が早いのでは?」こんな疑問が沸いてきますよね。どうして全壊ではなくフルリフォームを選ぶのでしょうか。

理由は建築基準法にあります。

現在の建築基準法では、家を建てるための条件として、家の前の道幅は4m以上確保する必要があります。家の前の道幅が狭い場合、家を後ろに後退させて道幅を確保しなければなりません。さらに道幅4m以上の道路に2m以上接地することも定められているため、道路から隔たりのある「旗竿地」と呼ばれた場所に建っている家の場合、全壊ののちに新しい家を建てることができません。

このように家の床面積を確保したまま新たな建物に作り替える場合や、新築の条件をクリアできない場合にフルリフォームが有効になります。

フルリフォームをすることで家の安全性や快適性は格段に良くなります。表層リフォームや部分リフォームで老朽化した部分を補修することもできますが、基礎部分や柱、梁といった根幹も新たにできるのはフルリフォームだけといっても良いでしょう。長年同じ家に愛着を持って暮らすためにも、フルリフォームの検討をおすすめします。
アートリフォームの中古リノベーションの詳細はこちら

資料請求にて、施工事例集プレゼント中!まずはお気軽にご相談ください。お問い合わせはこちら 資料請求にて、施工事例集プレゼント中!まずはお気軽にご相談ください。お問い合わせはこちら ご相談・お見積り無料!資料請求・見積依頼・来店予約・オンライン相談など、まずはお気軽にお問い合わせを! ご相談・お見積り無料!資料請求・見積依頼・来店予約・オンライン相談など、まずはお気軽にお問い合わせを!